17.6. 科学のプロセス : ネアンデルタール人はどのような外見であったか
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観察
現代人の毛髪と皮膚の色素形成にmc1rという遺伝子が大きな影響を与える
疑問
ネアンデルタール人ではこの遺伝子がどのような型であろうか
仮説
この遺伝子のDNA配列がわかれば、ネアンデルタール人の肉体的概観を洞察できる
実験
ネアンデルタール人の骨から分離したDNAの中のmc1r遺伝子を、ポリメラーゼ連鎖反応を用いて調べた
結果
ネアンデルタール人のこの遺伝子には、現代人には見られない突然変異が含まれていた
次に、研究者たちは遺伝子工学的に、ヒトの細胞にネアンデルタール人型のmc1rを組み込んでみた
その結果、この突然変異は皮膚の色素バランスを補助する細胞膜受容体タンパクの活性を阻害することがわかった
この突然変異をホモでもつ個体(ネアンデルタール人の少なくとも100人に1人、たぶんもっとずっと多数)は赤い毛髪と白い肌をしていたと考えられる
興味深いことにかつてネアンデルタール人の分布していた地域にいる現代ヨーロッパ人にこのような特色が見られる
日照の少ない地域では色の淡い皮膚は、必須栄養素であるビタミンDの産生を容易にする
このようにヨーロッパに同時に存在していたネアンデルタール人とホモ・サピエンスは、以前に考えられていたよりずっとにていたようである
→17.7. 進化との関連 : ヒトの進化の最新段階